エッセイ

 

 

 

 

 

イギリスの国歌は、「女王陛下万歳(God save the Queen )」といいます。現在は国王がエリザべス2世なので「Queen」となっていますが、もしも国王が男性になれば、国歌は「God save the King」と名前が変わり、該当箇所の歌詞もKingに変わります。

 

さて、私は中学校の時に初めて、イギリスの正式な国名を習いました。グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)。地理のテストは満点を目指していたし、こんなに長いなんて!と珍しく思ったので、真っ先に覚えました。その時には、後にその国に住むことになるなんて想像もしなかったわけですが、イギリスに留学した時にふとこの国名を思い出し、あぁ、こういうことだったのか、と改めて納得したものです。

 

この国は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの国(country)からなっていて、それぞれ文化や、時には言語も違います。サッカーやラグビーのワールドカップや、コモンウェルス・ゲーム(*)では、それぞれの国が別のチームとして戦います。

始めに書いた「女王陛下万歳」という国歌は、連合王国共通の国歌で、それぞれの国にはそれぞれ別の国歌も存在します。スコットランドチームは、ワールドカップ等ではスコットランド国歌を歌わけです。

しかしイングランドだけは、イングランド独自の国歌が決まっていないのですって。

なので、イングランドvsスコットランドの試合の時には、何を歌えばよいのでしょう・・・?

って、実は、長年議論になっている問題なのです。

 

いくつかの愛国歌が候補曲となっていて、その「候補」の中から、その時々に選んだりしているようです。その「候補」にある一つが、前回ご紹介した、エルガーの「希望と栄光の国」。この曲は、イギリス国民(特にイングランド)にとって、第2の国歌と言って良いほど人気があります。

しかし、同じように人気のある候補曲が他にもあり、その一つがヒューバート・パリー作曲の「エルサレム」です。

コモンウェルス・ゲームでは、2010年以降、イングランドチームは「エルサレム」を歌っています。それ以前は、「栄光と希望の国」だった時期や、アーン作曲「ルール・ブリタニア」だった時期もあります。イングランドの国歌問題は難しそうです。

 

こちらに、こんな投票結果がありました。

「イングランド国歌としてふさわしいのはなにか?」の問いに、いくつかの楽曲と、「新しく曲を作ればよい」という選択肢を提示し、アンケートを取った結果です。少し古いデータですが、この時の結果は「エルサレム」が1位のようです。 

 → http://anthem4england.co.uk/previous-polls/

 

ところ変わって、ロンドンの夏の音楽祭Promsの最終夜。

約2ヶ月続く、この壮大な音楽祭の締めくくりとして、最終夜には様々な人気曲がオーケストラで演奏されます。エルガーの「威風堂々(中間部が「栄光と希望の国」)」、パリーの「エルサレム」は必ず演奏され、約1万人の観客が会場内で一斉に歌うのは、観ていて圧巻です。

実は、私がパリーという作曲家のことをきちんと知ったのは、留学から帰ってきた後、日本でのことでした。でも、この「エルサレム」という曲は、確かにイギリスで聴いたことがあります。音楽が鳴れば、誰もが自然に口ずさむ曲なのですから。

 

 ↓ パリー作曲「エルサレム」 2012年BBC Promsでの公演

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ↓ 私の演奏するエルサレム(ヴァイオリン+ピアノ版)はこちら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(*)コモンウェルス・ゲームとは

英連邦に属する国や地域が参加して4年ごとに開催される総合競技大会。

 

英連邦とは?

イギリスと、かつてイギリスに属した国々(現在は独立国家)からなる、国家連合で、the Commonwealthと呼ぶ。連合国家ではない。

 

コモンウェルス・ゲームについて、詳しくはこちらをどうぞ ↓

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%BA