(2011年9月に執筆)

皆さん、飛行機に乗るのはお好きですか?


私が始めて飛行機に乗ったのは小学校6年生の時。
シンガポールまで6時間、単身赴任していた父の元へ遊びに行ったのでした。
高校生以後は、私の海外行きはヨーロッパ方面が主流になり、飛行時間は一気に倍の1112時間になりました。

機内での時間というのは、かつて、私にとっては、ものすごく楽しみなものでした。映画も見られるし、読書も出来るし、勉強や書き物にも集中出来ます。

12時間もの自由時間・・・宝物を貰ったような気がしたものです。

機内食も好きでした。

決して味が美味しい訳ではないのですが(笑)、メニューが選べて、一人ずつセットになっている。お弁当を貰うウキウキな気分(^^)
最近は、離陸してから5時間も経つと足がしびれてきたり、背中が痛くなってきたり、眠くても眠れなかったり・・・と、思うように時間が経たないのがしんどかったりもしますが(^_^;)、一人に時間を楽しむという気持ちは変わりません。

一人の時間、ということは。
あまり、隣の席の人とお喋りなどはしたくありません。
なるべく「せっかくなんだから一人にして~」というオーラを発するようにしています(笑)

でも、「一人にしてオーラ」を発しているにも関わらず、話し掛けてくださる方も、います。
そんな時、必ず始めはなるべく素っ気なく話す努力(笑)。
しかし無視はできませんから、相手が積極的な場合は会話が続きます。
そんなこんなで、飛行機を降りる頃にはお友達になっている・・・なんてことも、たまには、あります。
そしてつい先日も。

夏休みにロンドンへ行った時のことです。
お隣りに座ったのは日本人のオジサマ。始めは「独特の雰囲気の人だなぁ」と思いました。
12時間ずっと隣に座る人ですから、まずは要チェック。

オジサマは、離陸前に最後の電話をかけ、「ちゃんと勉強しなさいね」と言いました。
「子供さんと話しているんだな。でも出張や単身赴任に向かうビジネスマンには見えないなぁ」と思った私。
そして、何となく「おそらく話し掛けられないだろう」と踏んだのです。
それが・・・

離陸後少しして、私は譜読みを始めました。
すると
「何か楽器を弾かれるんですか?」

「あぁ、楽譜なんか出すから、話し掛けられる隙を与えるんだ~(T-T)」と思いながらも、無視はできませんので応対していると、オジサマ、話を止める気配がありません(笑)
「譜読みしなきゃ、なのになぁ」

・・・結局私達は、結構沢山お話をして(でも途中で譜読みも出来ました。感謝)、飛行機を降りて入国審査を待つ間も一緒に列び(40分程列びました)、なんと、電車で市内の駅に着き、それぞれの方向へ別れるまで、ずっと連れ立って歩きました!

その方、61歳の方なのですが、これからイギリスの大学院に入学するために飛行機に乗っていたんです。
素晴らしいですね。

でも、本当にすごいのはそこではないんです。

オジサマは、奥様が長い間病気だったため、家の家事、3人の息子の世話を一人でしながら、定年まで勤めあげました。
その間も、将来の目標のために、英語を勉強し、仕事もポジティブに精力的にやってきたようです。
奥様の体調も回復し、念願の大学院留学。

テレビのドキュメンタリーに出てきてもおかしくないようなストーリー、日々の暮らしそのものが大変だったのはずなのに、諦めず、嫌にならず、自分自身の夢に向かって努力を続ける・・・。
何故そんなことが出来るんだろう!?と、正直私は頭が混乱しました。

するとオジサマは、淡々と言いました。
「大変だったけど・・・人生は順風満帆ではつまらないでしょう。
何か試練があるからこそ、頑張ろうと思えるよ」

・・・・・

人生の教訓をたれたくて言っている、とかではなく、心からそう思っている、オジサマの、その声の響き・・・。

しかし。


・・・え???
順風満帆じゃ、つまらないって???


 

私は、人生がつまらないと思ったことは一度もありません。
そして多分・・・、
わりと順風満帆なんじゃないだろうか。

・・・別に自慢してる訳じゃありませんよ?
それに順風満帆で満足と思っている訳でもありません。
ただ、どう考えても・・・
「大変だったね」と他人から言われるようなこと、特にありません。

オジサマ、私は努力していない訳ではないですよ?
でもきっと・・・
甘甘の人生に見えるんだろうなぁ(-_-)

なんだか、引け目を感じてしまいました。
でも、これは、どうすることも出来ないよね。
私の人生とオジサマの人生、比べるなんて意味のないことです。
人は皆、与えられた環境で精一杯生きている。
誰かさんが、誰かさんと比べて「苦労していない」とか、だから誰かさんの方が偉い、とか・・・きっと、そういうのはないんだと思う。・・・思いたい。

オジサマは素晴らしいです。
だから私は、オジサマの精神を胸に、これから、私なりに頑張っていけばよいのだと思う。

「順風満帆じゃあつまらないよね」なんて、淡々と言えるオジサマに出会えたのは、飛行機ならではのことです。
人と喋ると・・・、いいことがあるものですね。