その27 イギリスの作曲家たち スマイス

(2021.10.5. 更新)

2021年11月のリサイタルで演奏する、

Ethel Smyth (エセル・スマイス 1858~1944)を

ご紹介させていただきます。

 

 スマイスは、シドカップ(Sidcup、当時はケント州、現在はロンドンの一地区)という地域で、8人兄弟の4番目として生まれました。「女性は家で縫物でもしれいればよい」という考えが普通だった19世紀において、軍人であった父親からは当然強く反対されたにも関わらず、10代の頃から音楽で身を立てることを決め、家族を説得し、ドイツのライプツィヒに留学をしました。そこではドヴォルジャークやグリーク、チャイコフスキー、そしてブラームスなど、世界のトップ作曲家に出会い、大いに刺激を受けています。

 

 10年以上ヨーロッパに住み、帰国。1890年には、ロンドンのクリスタルパレスで自作が演奏され、ロンドン・デビューを飾っています。オペラの分野では最大の成功を収め、ヨーロッパの各国をはじめニューヨークでも上演され、メトロポリタン歌劇場の上演の歴史において初の女性作曲家となりました。次に女性作曲家のオペラが上演されたのは、その後100年経ってからのことです。

 

 1900年代には女性参政権運動に深くかかわり、投獄された経験もありますが、獄中でも、周りの女性たちとともに、力強く自作の女性行進曲を歌っていたそうです。晩年は耳が聞こえなくなり、執筆活動に力を注ぎました。

 

 力強い曲を作れば「女性らしくない」、フェミニンな曲を作れば「作曲家としてのスタンダードに達していない」など、女性であるがゆえに正当な評価を得ることが難しい作曲人生でしたが、信念を曲げることなく、強く人生を生き切ったのではないでしょうか。

 

 1922年には、功績を認められ、女性作曲家として初めて大英帝国勲章(DBE)を授与されています。

 今回演奏するヴァイオリン・ソナタ(作品7)は、ドイツ留学時代の作品ですので、ブラームスの影響が濃く見られます。たっぷりと歌われるテーマの中に厳格さが漂う第1楽章。第2楽章は、いたずらっ子のスケルツォ。第3楽章は、寂しさをまとった旋律。第4楽章は、断固としたリズムが特徴的です。